「平和新聞」(2020年9月25日付)に日本平和委員会事務局長が「記憶の灯り 希望の宙へ」の書評を掲載

平和新聞に掲載された「書評」を転載します。

 

戦禍の記憶を次世代に
『いしかわの戦争と平和』発刊

 石川県平和委員会と「戦争をさせない石川の会」が協力し、このほど『記憶の灯り 希望の宙へ 石川の戦争と平和』を発刊しました。
 石川県平和委員会は2000年に『石川県平和ガイドMAP』を、2007年には『戦争と金沢』を発刊。戦跡や軍事基地をめぐる平和ガイド活動を行ってきました。運動をすすめる中で県内の戦跡や戦争資料の調査・収集もさらに進み、「石川の会」と協力しての発刊となりました。
 本書の特徴は、日本軍国主義の侵略と敗北、戦後の歴史をしっかりと伝えながら、その中で石川県民がどう戦争に組み込まれ、どんな被害を受けたか、そしてどのように抵抗したかを、石川県に残る129カ所もの戦跡・史跡を丹念に取材し、くっきりと浮かび上がらせていることです。
 平和委員会の役員だけでなく、歴史家、郷土史研究家、詩人、写真家、グラフィックデザイナーなど、さまざまな分野の力を結集し、それぞれのページが豊富な写真や史料でビジュアルに編集され、戦跡を通じて日本と石川の歴史が学べる出色の出来栄えとなっています。最終頁にはすべての戦跡・史跡がマップで案内され、これを持って戦争と平和を考える旅ができるものになっています。
 石川県と細菌兵器開発を進めた731部隊との関わりを示す史跡、特攻基地跡や中国人・朝鮮人強制連行を悼む碑、地下軍需工場、治安維持法と闘った群像、平和憲法発布記念碑、戦後基地闘争の先駆けとなった内灘闘争の史跡、そして、航空自衛隊小松基地との闘い・・・・。戦争の悲惨さを刻印し、今日の平和運動をすすめる力と一冊です。
(千坂 純・日本平和委員会事務局長)